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アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)1902-1971 デンマーク

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建築家やデザイナーとして、ハンス・ウェグナーやフィン・ユールと共にデンマークのデザインを世界中に広めたモダン様式の代表的人物です。
伝統的なデンマークデザインに、近代機能主義を取り入れ、近代デンマークデザインの基礎を築きました。優れたデザインの建築物や家具を設計し、数多くの賞を受賞しています。英国王立建築家協会、アメリカ建築協会などの会員でもあり、また出身校であるデンマーク・コペンハーゲン王立芸術学校をはじめ、オックスフォード大学、グラスゴー大学などの名誉博士号を受け、その教鞭も取りました。彼はデンマークのみならず北欧全体のモダニズムの姐でもあります。
1927年王立芸術学校建築科卒業。デンマーク近代建築、機能主義建築の旗手として多くの作品を残した巨匠です。1956年~1965年まで王立芸術大学建築学科教授を務め、同時に家具もデザインし多くの名作を残しています。

1902年、コペンハーゲンで貿易商を営む両親の間に生まれました。
最初は画家を志していましたが、父親の猛反対で、1921年に家を出て客船の旅客係として働き始めましたが、体調をくずしてすぐに辞めています。
1927年にデンマーク王立芸術学校卒。1930年までの3年間ポール・ホルソーの建築事務所で働いている時に、当時
のモダニズムを代表する建築家、
ル・コルビジェ
などの影響を受け、ベラヴィスタ集合住宅などを設計しました。
1940年、デンマークがナチスドイツによって占領されると、ユダヤ人であったヤコブセンはナチスによる迫害を恐れて、
ポール・ヘニングセンと共に当時の中立国であったスウェーデンへ亡命。亡命中は自身での建築設計は行なわず、第2次世界大戦が終了して帰国するまで、二人目の妻ヨハナとテキスタイル・デザインを手がけるなどして過ごしました。

彼の代表的な作品は、スカンジナビア空港ビル、デンマーク国立銀行、ラディソンSASロイヤルホテルなどの建築、
その建築を構成する重要な要素として主にデザインされた多数の家具等々、ステルトンのシリンダライン、ロイヤルホテルの為にデザインしたカトラリー、デンマーク国立銀行の為にデザインした時計など数多くの製品があります。


アントチェア」(1952)や「セブンチェア」(1955)は世界で最も販売台数が多い椅子と言われていて、現在でも公共施設や飲食店でもよく使われています。
その他には1958年デザインされた「エッグチェア」「スワンチェア」などがあります。

家具製造は発表当時から現在までフリッツ・ハンセン社が手がけ、照明器具はデンマークを代表するルイス・ポールセン社が担当していました。
プロジェクトのために特注制作された照明は、現在でもルイス・ポールセン社のスタンダードアイテムとなり、
モダンデザインの
代表作のごとく美しい魅力を感じさせます。
このように家具などを含めた一貫したデザインで、建築の理想を追い求めた点においては、ミース・ファン・デル・ローエの影響を受けたと語っており、建築に関わるすべての物のデザインに携わることは、ヤコブセン建築の特徴の一つです。

集合住宅建築は、
コペンハーゲン北部べルビュー地区にレストランや劇場の 隣接するリゾート型複合住宅、ベラヴィスタ集合住宅と非対称の屋根を採用するなど、新しい概念を持ち込んだテラスハウス、スーホルム集合住宅などがあります。

1971年、デンマーク国立銀行を着工した同年、その竣工を見ることなく逝去。

Tabi/世界の建築 2010年6月
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